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 年が明け、仕事始めの前々日に例の新年会がやって来た。  私は朝から美容院へ行ったり、郁美さんと一緒に買い物へ行った時の服を鏡の前で合わせたりと忙しい。  夫はというと、正月休みの延長でダラダラとコタツで寝転がっている。  私とは違っていつものスーツで行くから、そんなに支度は掛からないらしい。  そうこうしているうちに夕方になり、タクシーを呼んだ私たちはほぼ新築の様に改築されたという会社に向かった。  夫は電車で行けばいいじゃないかと言ったけれど、冗談じゃないわよ。  この髪形が崩れたらどうしてくれるのよ。  それに外は霙。  傘なんて邪魔になるじゃない。  私は薄ら禿げつつある夫の頭を思い切り叩いてやりたくなった。
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