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会社に到着すると夫の後ろに付き、良妻を装いながら皆さんに挨拶をする。
夫は意外と社内では尊敬されていたのか、次々と若い人たちが挨拶に訪れた。
これには悪い気がしない。
なんだかんだ愚痴を零していても、夫が仕事を頑張っている証拠なんだと感心した。
「おい、各務社長の所へ行くぞ」
夫に背中を押されて、一際大きな輪になっていた社長の元へ行くと、そこには会社の役員たちが勢ぞろいしていた。
皆貫禄がある。
ビシビシと平社員に近い夫とは違うオーラを放っていた。
そしてその輪の中の中心は、恰幅の良い各務社長と芹沢世理がちょうどカメラに向かって微笑んでいる最中だった。
「あなた、あれって」
「あぁ社長が気に入っている画家だ。エントランスに飾ってあっただろう?」
言われてみれば、玄関ホールに人だかりが出来ていた気もするけど。
ン百万円もする絵を買ったのね。
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