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「斑目さん!」
「うわぁ三浦さん? あけましておめでとうございます。どうしたんですか、こんなとこで」
斑目さんは私の方に身体を向け、グラスを手渡してくれる。
そして乾杯。
見上げた斑目さんはいつもと違って、かき上げたオールバックで、ドキドキする。
男の色気が自然と湧き出ていた。
新年早々ありがたいわ。
「主人がここの社員なんです~」
「そうでしたか。じゃ、挨拶しに行かなきゃですね」
「いいんですよ~。そんなに大した人じゃないですから」
私たちが話しているすぐ横で、女はつまらなさそうにそっぽを向いている。
芹沢世理にしてもこの女にしても、斑目さんの隣に居る女は感じ悪い。
「斑目さん、こちらは……?」
まさかこんなに堂々と愛人を連れて来てるのかしら。
「えーと。部下です」
ここへ来てようやく私と視線を合わせた女は、結城です、と軽く頭を下げた。
そして私の後ろに視線を移すと、いわゆる営業スマイルになる。
この女は、男と女の前じゃ態度が変わるタイプだわね。
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