第二夜:大貴と昇平

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一人暮らしの俺を起こすものは居ないので、セットした携帯のアラームだけが頼りだ。 このアラームをセットし間違えると確実に会社には行けない。 俺は眠い目を擦りながら、洗面所でうがいする。 『あいつらも、ちゃんと起きれたのかな?』 鏡に映った覇気のない自分の顔を見て、昇平と宮永の事を思い出す。 昨日の疲れをリセットさせたい俺は、冷水で勢い良く顔を洗う。 段取り良く着替えと朝食を済ました俺は昇平にメールを送る。 【起きれた?】 短文を送ったからか、それ以上に短文が帰ってくる。 【無理】 何が無理なのか不明ではあるが、その二文字からは切羽詰まった雰囲気が伝わってくる。 俺はリュックを背負い、会社に向かって自転車を漕ぎ始めた。 先週よりも風が冷たく感じる。 街路樹の木々もほんのりと赤くなってきていた。 『確かに、社員旅行で山に行くにはちょうどいい時期かもな……』 季節の移り変わりを感じている間に、会社の駐輪場に到着した。
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