第二夜:大貴と昇平

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今の給料は聞いて驚くなかれ、たった16万しかない。 サービス残業は月200時間を軽く超える。 3年後に50万になるとは思えない金額だ。 「そういえばさ、明日って社員旅行じゃなかったっけ?」 突然思い出したように昇平がボーッとしている俺に話しかける。 「えっ……。そういや確か半月くらい前に社長が言ってたっけ……」 俺は頭をぐしゃぐしゃ掻きながら、天井を見ながら呟く。 「昨年は無かった事を見ると順調に業績は伸びてるのかな?」 「そりゃあ伸びてるんじゃないすか?でも確か、行き先って近くの山っすよね! 社長が美味しいミルク飲めるとかアピールしてた牧場。全然面白くなさそうなんすけど」 宮永が溜息混じりにそう言って、俺と昇平のコーヒーカップも回収して洗い出した。
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