第二夜:大貴と昇平

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「おっ、悪いな」 率先して洗い物が出来る宮永に感心した俺はそう言って社内のブラインドを下げていく。 「いやー、いい部下を持って俺達は幸せだよ」 昇平はそう言いながら、社長から渡された社員旅行のチラシを机から出して見始めた。 「どういう日程なんだ?」 「んー、とりあえず1日目は山登って牧場寄って、頂上で精進料理と座禅だってさ。 2日目は山を降りて水族館らしいけど」 「なんだそれ……1日目は修行して2日目は幼稚園の遠足ってか? まったく……社長の考える事はよくわからないな。ってかあと4時間後に社員旅行とか鬼だな……」 俺が呆れた表情で昇平の後ろからチラシを覗き込んで呟く。 数分後、洗い物を終えた宮永も同じようにチラシを覗き込む。 「これってWordか何かで作成したんすかね。 よく見たら文字のフォントもバラバラだし、色使い滅茶苦茶だし、牛の絵キモイし。 社長お手製だったりして」
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