第二夜:大貴と昇平

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「社長がこんな面倒くさいことするかな。 どうせ総務部の人間にでもやらせたんじゃないの? さぁ、とりあえずもう帰ろ帰ろ!」 そう言って照明を消して会社を出た俺達は、自転車やバイクにまたがって話を続けていた。 「宮永、お前バイクいつ買うんだ?ボロボロじゃん……」 「確かにもう限界っすよね……コレ。 そろそろ買いたいんすけど、今の給料じゃ厳しいっす……」 「3年で50万。絶対嘘だろ。俺達、そろそろ会社に見切りつけなきゃならないよな」 「えっ、勘弁してくださいよ!俺まだ入社して3ヶ月っすよ? そんなんで辞めたら親になんて言われるか分かんないっすよ」 「まぁなんにしても、俺と大貴は3年契約だからさ。 3年経っても給料が50万にならなかったら労働局に駆け込んで会社を訴えてやるさ」 そう言って煙草をくわえた昇平は自転車を漕ぎ始めた。
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