第1章

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暫くママは無言となった。 あたしたち3人も無言となった。  あたしは言った。 「ごめんママ。無理ならいいの。誘われたから、一応聞いたの。心配させてごめんね」  うつむくあたしの顔をママは見る。そして2人の友人たちの顔を見る。 そして口を開いた。 「必ず送り届けてくれるんですよね?約束してくれますか?」 「はい!」「はい!」  二人は同時にそれは元気に答えてくれた。 「この子は・・・」  ママはハンドルの方を睨むように見て、暫く黙る。そして意を決したように口を開いた。再び二人を見る。 「この子は、ストーカーに狙われているの。だから絶対に一人にしないで下さいね」 「え・・・」 「え・・・?」  千夏と俊太の声色が変わった。それじゃあ、と言って母は助手席のドアに手を伸ばし閉めると、車を発進させて恐らく家へと向かった。  3人の間に流れる沈黙。  千夏がぽつりと言う。 「・・・あんたが・・・男嫌いって・・・そういう事・・・?」 「え?・・・ぁぁ・・・うん、まぁ・・・うん」  俊太が言う。 「何で今まで言わなかったんだよ・・・」 「なんでって・・・いう機会ないし・・・」 ・・・それにストーカーじゃないし。とかね。  再び流れる沈黙。  しかし千夏は言った。 「まぁ、そうだよね。そんな事言い辛いよ。わかるよ私。辛かったね、毬奈」  本当の内容はもっと酷いけれど、そう言ってくれた千夏に深い感謝の気持ちを覚えた。 「ありがとう・・・千夏」  その後も暫く黙っていた俊太が口を開き、ぼそりと言った。 「千夏のおかんがどうしても送り迎え無理なときは、俺が送る」  それだけ言って、マクドナルドがある方へ歩き出す。 「行くぞ。チキン竜田が俺を待っている」  何だか照れくさそうな俊太だ。 あたしは俊太に駆け寄った。 「ありがとう、俊太」 目一杯笑ってみせる。 すると目一杯顔面が赤い俊太。 「顔がチェリーみたいだよ?俊太」 「おい。それは色んな意味で酷いぞ。色んな意味だぞ、わかってんのか」 笑うあたし。置いてかないでよーと駆け寄る千夏。 高校生活。手放したくない。些細な思い出を作って行きたい。 あたしを陰から見る男になど、一生気付きたくなどなかった。
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