第1章

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『・・・・・・』  あたしは檻の中の床に横へ伏せて雅也に背中を向けたまま黙っていた。雅也は檻の外のテーブルの上へ、トレーに乗せて運んで来たそれらのものを一つずつ置いていく。  涼しげな氷の音が揺れて、静まった部屋の中に響く。  この時、あたしは15歳。正直毎日のように雅也にキスされ、そのキスが嫌なのか何なのかすらわからなくなってきていた。 きっとこの後もされるんだろう、くらいに考えていた。  例え振る舞いが優しくても、自由を奪った女にキスをするなんて、無理矢理キスしているのと同じことだ。強姦と同じだ。  それでも最近は受け入れてしまっている自分がいる。諦めだろうか?  あたしはぽつりと返答をした。 『・・・ガトーショコラ』  不自由な体勢で起き上がろうとすると、チェーンを外し中へ檻の中へ入ってきた雅也が肩に手を沿え手伝ってくれた。振り返ったあたしと目が合う。 『・・・後ろ手は痛いか?』  少し困ったような顔であたしを見る。 『もう慣れた』  あたしは無表情で答えた。  そんなあたしを雅也は抱きしめた。抱きしめられてもそう抵抗出来ないので、抱きしめられたままに最近はなっていた。だけど  何故か、この腕の中にいるとき得られる安心感が、自分で憎らしかった。 何故こんな気分になるのだろうと。  そしてやはり雅也は、あたしにキスをしてきた。軽く、軽く、そして深く。  急に深く舌が入ってきたときは耐え切れず声を漏らす。唇を吸ったり、舌を絡め合ったり、何度も繰り返される深いキス。 だんだん身体に力が入らなくなって行くのが自分でわかる。 そのグラつく身体を、何重にも巻いたロープと雅也が支えている。  あたしは簡単に押し倒された。正確にはほぼ無抵抗だった。 『・・・何するの・・・?』  静かにあたしは問いかける  雅也も静かに微笑んだ 『ケーキはあとのデザートにしよう』  意味がわからなかった。  でもすぐにわかることとなる。 雅也はあたしの敏感な部分を14歳のあの日で知っていた。 だから執拗にそこを責め続けた。  勿論流石に嫌だとは言ったけど、叶わない抵抗だった。  耳、首、鎖骨、腕、色んなところにキスされながら、着ていた服が丁度胸元の広いワンピースだったため、胸元から手を入れられていた。  雅也の膝の上に座るような体勢で、それは長い時間行われた。
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