第2章

8/20

101人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
残された、僕と副会長。 「……副会長?」 「なんですか、雑用係」 「行かないんですか…?」 恐る恐るしたその質問に、副会長は首を振る。 「…あのまりもよりは、貴方の方が可愛いと思いますからね」 「………え?」 思わずキョトンとする。 「…いつも見ていましたよ。貴方の働き、一人の時に頑張っている姿も…全部。」 「……だって、皆さん仕事をしませんからね…」 …なんか、怖い。 「時々、隣の仮眠室から見ていたのですが…貴方、以外と可愛い顔をしているようですね?」 「…!!」 僕は生徒会で一人の時は前髪をあげている。それを…見られた? 「………見た、のですか?」 「見ました。とても綺麗で…」 「………………………」 見られた。 女の子のような、その顔を。 『ハハハッ…まるで女みてぇだなぁ?』 『もっと鳴けよぉ!!』 フラッシュバックする、記憶 「……で…?雑用係?大丈夫ですか?」 ずっと何かを語っていた副会長は、僕の様子に気づいたようだ。僕はズキリと痛む頭と、悲鳴をあげる心を必死に押さえ込み、笑顔を作る。 「…大丈夫、ですよ?副会長、さん」 「顔色が悪いようですが…」 「大丈夫、です、から…」 早く、出ていってほしい。 頭が痛い。 『…可愛い声だね、雫ー』 ズキ 「っ…は…」 「雑用…いえ、笹川君!!」 かくん、と力が抜けてしまい、副会長に支えられる。呼吸がままならない。 「笹川君…ゆっくり、息を吸ってください。私はなにもしませんから…ね?」 「ん…はっ…」 ゆっくりと背をさする副会長の声は、いつもより格段に優しかった。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

101人が本棚に入れています
本棚に追加