第2章

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どのくらいたっただろう。 落ち着いた頃には、もう夕飯の時刻が迫っていた。 「……笹川君、落ち着きましたか?」 「…お陰さまで…ありがとうございます…」 なんとか呼吸を整え、副会長と向かい合う。力はまだ上手く入らないせいで、歩くのは少し無理そうだ。 「すみません…その顔、見られたくないのですか?」 「…はい。この顔のせいで、酷い目にあったので…」 「酷い目………」 …その言葉の後に、「始末しなくては…」とか聞こえたのは気のせいだと思いたいです。 「ところで笹川君…帰れますか?」 「えーっと…」 気を使ってくれたのか、話を変える副会長。力が抜けている今の状態では、少し、無理かな… 「少したてば行けますけど…?」 「それでは夕飯が遅くなるでしょう?よろしければ…私の部屋に来ますか?」 「え?大丈夫ですよ…」 「…あの貴方を見た後では放っておけません。行きますよ?」 ちょっと強引な副会長は、僕を抱き抱えると副会長の部屋に向かった。 「副会長大丈夫ですから…」 「……貴方、軽すぎますよ?」 「今それですか!?まぁ…軽いでしょうね…」 「なんでですか?」 「…会長副会長の仕事と双子チャラ男の仕事を纏めてやると、食事の時間がないんですよ。ただでさえ少食なのに、最近は拒食症になってますから…その…」 「……すみません。仕事をする貴方が可愛すぎてつい…」 「いいんですよ…少しなら。」 実際、食事は取れていない。体が入らないと悲鳴をあげるから。サプリですら喉を通らないときもある。 「…さて、着きましたよ。」 そうこうしているうちに、着いたみたいだ。
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