第1章

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「さな、お前さ、雑誌見ながら独り言がでか、い……」 今までパソコンを弄っていた和真が椅子の背凭れに凭れて、こちらに振り向いた。 「ぁああ!はいはい。分かってますよ~おパンツ見えちゃった? ……女の子だから、って説教はなし!もう、耳にたこ。 暑いんだからしょうがないでしょ」 …暑くない、けど。 「…俺そろそろ、あっち行くけど…さなも今日は行く?」 あっち、すぐ隣の…この部屋の窓から見える部屋。 「今日はいいや、和真だけ行って」 笑って応える私に、和真は「そっか」と小さく呟いて淋しそうな顔をする。 「あ、行く前に雑誌だけいつものと替えて貰ってもいい?」 「何だよ。また同じやつ?違う雑誌買ってきたろ」 ふ、て……優しい顔で笑った和真は、いつもの様に私のいるベッドに、いつものページを開いて 「行って来る。すぐ帰って来るから」 そう言ってパタンとドアが閉まった。 私は、杉山さな(16) 和真がお隣の玄関へと声を掛けて入って行くのを見届け、またゴロンと先程と同じ様にベッドにうつ伏せで寝転がり… 和真が買って来た、新しいファッション雑誌の山をチラッと見て、さっき頼んだ雑誌を見る。
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