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人ごみを掻き分けて中心部へ戻るのは、思った以上に大変だった。
一人でいるならなんでもないことだろうけど、私の腰にも満たない身長の子供連れ。
ケントくんの身長じゃあ、周りは人ばかりで何も見えないくらいだろう。
「…少し、休もうか」
しばらく歩いて、私は再び人の流れから抜けて歩道の脇で休むことにした。
私も今日は体調がいまいちなので少し休憩したかった。
なんだかこの人ごみで…目が回るみたい。
私が目頭を押さえていると、ケントくんが私の手をギュッと握る。
「おねえさん、だいじょうぶ?目がいたいの?」
心配そうに私を見上げるケントくんの表情に
励まさせている大(ダイ)の大人。
「ううん、大丈夫、痛くないよ。ほらね」
私は前かがみになってケントくんの高さで目を合わせた。
「…じゃあ…おなかがいたいの?」
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