HANABI-渉side-

15/42
前へ
/42ページ
次へ
「え?」 私はその高さで目をぱちくりさせた。 「…お腹…?」 「うん、いたいの?」 「…ううん…大丈夫…だよ」 私は頭にハテナマークを飛び交わせながら、大丈夫だと返事をした。 けれどすぐに合点がいく。 子供にとって、体調が悪いというのは、イコール『お腹が痛い』に結びつくのかもしれない。 私は一人っ子なので姪や甥もいないし、まだ子供のいる友達も稀(マレ)だったので 子供の発想や素直さに触れてとても新鮮な気持ちになった。 「さ、もう少しだからがんばろうね。パパとママが待ってるかもしれないしね」 「うん!ぼくがおねえさんをつれてってあげるね。とけいだいのところに、けがをした人を見てくれるところがあるってママがいってたから」 …確かに、本部には救護テントもあったかもしれない。 「わ、ケントくんかっこいい。おねえさん男らしい子、すごく好きだな」 ケントくんは得意気な顔をして歩き出した。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2505人が本棚に入れています
本棚に追加