HANABI-渉side-

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ケントくんは私の手を引くかのように、力強い足取りで私の横を歩いている。 さっきよりも早いペースで歩いてくれたケントくんのおかげで、催事本部に無事に辿り着いた。 けれど、本部のテントの前は落し物や苦情や道案内やらでごった返していた。 本部の係りが並ぶように赤いコーンで人の列を誘導していた。 私は小さなため息をつきながらも列の最後尾にケントくんと並んだ。 「順番だからね」 「うん、しってる!」 ケントくんは私の手をブンッと大きく上に持ち上げた。 …かわいい… 私もケントくんに合わせてブンブンと手を振る。 私の隣で笑うケントくん。 その笑顔を見ながらぼんやりと考える。 いつも私の横にいてくれる人は… …どこにいっちゃったんだろう…
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