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私は巾着を持たない方の手を
渉さんの手に…
伸ばせずにいた。
待ち合わせの時計台まではずっと二人で
いつもどおりに楽しく話をして来たのに…
…どうして…?
本当はあの石段での花火だって
もっと上で見たかった。
私たちの前を行く室長と祐子ちゃんはカラダを寄せ合って
おんぶで上がってた。
おんぶがして欲しかったわけじゃない。
せめて…手を繋いで
もう少し上まで行きたかった。
私たちが石段の途中で歩みを止めたのは
室長と祐子ちゃんに気を遣ったからじゃない。
二人きりになりたかったわけでもない。
渉さんが
「めんどくせーからここでいいだろ」
って、言ったから。
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