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妻を愛していることと、外に女がいるということは関係のないことだ、 と武は思う。 例えば妻が、友達が羨むほどに美しく、料理が上手く綺麗好きで、自分の家族とも仲良くうまくやってくれていて、必要があればいつでも働くことができる資格も持っている、パートナーとして完璧な女性であるとして。 (まさにそれが自分の妻である麻里子なのだけれど) それでも夫が100パーセント浮気をしないという理由にはならないのだ。 武には、麻里子の知らない女友達がいる。 その女友達とは、セックスもするしキスもする関係だ。 女友達のことを愛しているかと聞かれれば、麻里子への愛には到底適わないと答えるだろうと武は思う。 けれど、女友達との関係を断ち切ることは、麻里子と別れることより遥かに、武にとって気が遠くなるくらい難しいことだった。
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