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遮光カーテンをそっと捲り窓の外を見ると、辺りは真っ暗闇だった。
いったいどれくらいの時間こうしていたのだろうと麻里子は考えた。
枕にするには硬くて太過ぎる二の腕はお世辞にも寝心地が良いとはいえなかったし、おまけにきつく抱きしめられすぎて、眠ろうとしても苦しくて何度も目が覚めてしまう。
ベッドと古いテレビ、簡単なテーブルと椅子だけしかない室内は、やけに暖房がきいていて、乾燥で喉もすこし痛む。
空調を調整しようにも、彼が目を覚ますまではリモコンの場所すらわからない。
それなのに。
隣で寝息をたてる彼の側から、たとえ一瞬でも、離れたいとは思わない。
まるで何かから守ろうとするように、時には眠れないでいる子どものように、自分をしっかりと抱きしめて眠る逞しい体。
人は見かけによらないものだ。
彼と抱き合うたびに、麻里子はいつもそう思う。
心優しく、誰よりも自分のことを大切に思ってくれる、不器用な男。
荒っぽく見えるのに繊細で、細かい作業が不得意そうなごつごつとした指先からは想像もつかないような、優しい愛撫をする男。
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