第1章

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 現住所、電話番号、ネットやメール情報は黒神幸之助の協力を請け入手している。また、数箇所を経由してだが紫ノ上島から発信された通話が最終的に羽山に届いた事もJOLJUが確認した。  羽山は身辺を眩まそうとしている。その事も確認済みだ。  だがユージも困ってはいた。もう使える人員がいないのだ。CIA、NSA、FBI各局の日本支部諜報員は全員ユージの指揮の下動かしているが、元々日本に駐在している人数は少なく別省庁であるCIAやNSAは全面的協力してくれているとは思えない。彼らには彼らの案件があるし、本来アメリカ国内でしか活動できないFBIに仕切られる事に不満があるはずだ。有力な手駒は足りない。結局、ユージ本人が追いかけるしかなかった。 「おい、行くぞ」  ユージは転寝しているJOLJUを足で小突いた。JOLJUは一度眼を開けるも再び目を閉じようとしたので容赦なくユージの蹴りが決まった。  目覚めたJOLJUは一通り抗議した後、ユージの話を聞き納得したが、腰を上げなかった。 「晩御飯を要求するJO!!」 「は?」 「晩御飯の時間だJO!! 食べないと力でないし眠くなるJO!! 大体今回テレポートとかオイラは色々頑張ってるンだから晩御飯をちゃんと食べる権利を主張だJO」  確かにアメリカのアレックスの所に行ったり自宅に行ったりセシルの所に行ったり、ユージをテレポートさせたりと珍しくJOLJUは全面的に協力している。 「何が食いたいんだお前は」 「焼肉っ!!」 「却下だ。そんな時間あるか」 「……じゃあ…… ハンバーグセット!」 「昼食べただろーが。ファミレスに寄る時間もない。ファーストフードで我慢しろ」 「ハンバーガーの気分じゃないから牛丼がいいJO」 「駐車場ある牛丼店じゃないとダメだろうが」  ユージたちは都心を車移動である。そして時間をあまりかけられない。それを聞いて考え込むJOLJU。13秒後、ハッと顔を上げ宣言した。 「寿司!」 「寿司ぃ!?」 「そだJO。大丈夫、オイラもTPOは弁えてるJO。築地でとか時価の店とかでなくていいJO。回転してるのでいいJO~」 「回転寿司?」 「オイラは回転寿司好きなんだJOっ!!」  そう。JOLJUの子供のような味覚だから寿司のネタの差など気にしない。ただ目の前で流れていく寿司に目を輝かせる、見ていて美味しい回転寿司が大好きだ。
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