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酒井と黄鬼が退出したら、まじめな顔をして閻魔館長はよっちゃんを仕切りのある応接コーナーへ勧めました。
『だ・い・じょ・う・ぶ。SAME王子のおつかいダヨ』
パトは少し心配顔でしたが、しっぽを振って頷きました。二人が何を話しているかも聞こえないし、あまり動けないので暇を感じたとき事務所のドアが開きました。
見えたのはピンクのスタッフジャンパーを着た背が高めの頼りなさそうな女の人。
遠慮がちに入って来たけど、パトを見て満面の笑みで駆け寄りました。パトもそれが誰か分かったようです。
「あなたがパトちゃんね!こんにちは、はじめまして!」
『君が桃ろくなんだね!こんにちは!』
「しっぽでしっかり会話ができる!パトちゃん、すごかぁ~!」
へたくそな佐世保弁だけど、撫で方がとても優しく上手な桃ろくとは直ぐに仲良くなりました。
「あれ?よっちゃんは?」
『ごっついおじさんと話しているよ。酒井は黄鬼のおじさんと館内見てるよ』
「酒井と黄鬼2は親戚なの?」
『まさかぁ(笑)館長がよっちゃんと話すために行かせたんだよ』
「…幽界のミッションかな?」
『…だね。』
「酒井がどこら辺にいるか見て来るね!」
少し困ったのが分かったのでしょうか?察しがいい桃ろくに驚きながらも、パトは感謝しました。
『・・・何でもペラペラ教えられないものね』
『やっぱりパトちゃんはかしこいネ』
話を終えたよっちゃんが、パトのつぶやきに声をかけます。
『もういいの?』
『うん。もうすぐSAME王子がやってくるよ』
『ええっ?何かあるの?』
『覚えてる?5人の姫の宴を襲った地獄の大魔王のコト。ここの閻魔大魔王が関係あるのか確かめに来たんだ』
『え~?!ぜんぜん別魔王だよね』
『うん。だから安心だよ』
そう言えば、よっちゃんは旅が始まってからあんまりはしゃいでいなかったのです。よっちゃんとパトは心からニッコリしました。
『王子をお出迎えしてくるね』
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