第1章

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よっちゃんと桃ろくは、たくさんお話ししました。幽界のこと、家族のこと、仲良しの友達のこと。 『幽界に遊びに来たらイイヨ』 「でも、どうやって?」 うん!と、喜んですぐに困った顔になる。よっちゃんは、くるくる回る桃ろくの表情がとても楽しくなりました。 「よっちゃんは、どうやって地獄に来たの?王子達はバスだったみたいだけど。幽界と繋がってる道があるの?」 『ボク達は幽界の門できたんだよ。』 「どこでも〇アみたいなもの?」 『ううん。幽界の門には意思も感情もあるんだヨ。だから門様とレディ達に呼ばれているし、ボクの友達なんだヨ!』 「門様・・・」 お喋りが楽しくて、思わず酒井の口調になったよっちゃん自身も、すっかり酒井のことを忘れていました。 事務所に繋がる廊下のドアが開き王子と閻魔館長が出てきました。どうやら水族館の中を回るみたいたです。 「よっちゃんも一緒に行こうか?パトちゃんも一緒だよ」 パトちゃんは王子に抱っこさせています。 『よっちゃん行こうよ!僕、地獄の釜こわいよ』 パトちゃんが目で訴えます。この先はどんどん暗くなっていくみたいだし、魚もなかなか荒くれと聞きます。 よっちゃんは、ぬいぐるみみたいだと口をあんぐりして目を見開いたまま固まっている桃ろくに、パトちゃんがしっぽを振ってサインを送ったのを楽しそうに見てから歩き出しました。
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