第2章 過去

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大学生活は そんな具合に進むことになるのだけれど 昔から 勉強は出来なくても 要領は悪くないと 自分ではそう思っていた 出席は 代返で済まし テスト前には出席率の高い友人にノートをコピーさせてもらい ポイントだけを覚えた 卒論だってそうだ 卒業生の卒論を引っ張りだし 僕と同じテーマの物を持ち帰り 8割方 それを写し 最後だけ僕の言葉に書き換えた 就職試験もそう 大手企業の募集に対して 筆記は苦手でも 面接が得意な僕は 選考や筆記後にあった 3度の面接を適当な愛想と 自信満々のトークでやり過ごし 一社目で内定をもらった 結局 今までと同じく 何一つ頑張らずに 卒業も 就活も クリアしてしまった事が 人生に対して 甘く考える今までのスタイルを 更に突っ走らせてしまったのだと思う 本当は何一つ出来ない自分を 特別だと思わせるには十分すぎる4年間だった このつけは 社会に出てから少しずつ返ってくる事になる 何も知らない僕は 相変わらず わがまま放題で 上京の 準備を 進めていた
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