臨也と京介

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 「とどのつまり、最強は幼女ってわけよ」 「そっか」  季節は夏。上はワイシャツで包まれており、二人とも涼しそうに過ごしている男子学生が二人。  臨也と京介。その二人は鞄を片手にぶら下げ帰路についていた。 「お前俺の話聞いてんの? そうだよな。所詮姉萌えとか抜かすバカだもんな。聞くわけねっか、ハハ」 「ハハ、まで聞いたわ」 「ちゃんと聞いてたんだね!」  恐ろしいほどの顔を持つ京介。  だが、彼にはその顔面すらをも無に帰すかのような趣味を持っている。 「ペドとか怖すぎなんだけど」 「殺すぞ、そんな下等種族と一緒にすんじゃねぇ。俺らロリコンは見守るのだ」  今までの会話から気付くだろう。彼はロリコンである。  そして、その対とでも言うように平均的な顔立ちの臨也は・・・。 「お姉さんに勝てるわけねぇだろ。ケツ! ケツ!」 「ドン引き」  臨也は年上好き。もっぱら学校では彼のみが変態のレッテルを貼られている。 「なんでだぁ! 年上ってなだけで扱いが酷いとかなんなんだ!」 「臨也は女子に嫌われてるからな」 「誰のせいだと・・・!」 一言で片付けてしまうとだ。  イケメンである京介には追っかけなるものが存在し、男である臨也にすら妬んでしまう。  まぁ、彼の日頃の行いもあるのだが。 「今日の学校も最悪だった! あのアバズレ共のせいで・・・!」 「臨也、いくら年増だからとはいえアバズレは酷いぞ」 「タメだよ!?」  どうやら京介にとって女子高生は年増らしい。 「あーあ。さっさと帰るぞ。アニメアニメ!」 「今季もまた忙しい、か・・・」  二人はニヤニヤしながら言い交わし、歩く。  その姿は気持ち悪いものだ。  が、そんな時だった。彼らの前にある人物たちが現れたのは。 「おねーちゃん、待ってー!」 「はいはい、ゆっくり歩こっか」  二人を追い越したのは、女性たちだった。  一人は入社して間もないであろうと伺えるOLの女性。適度に伸ばした髪の毛が風に揺れる。  そして一人は明らかな園児だった。純真無垢な瞳。穢れをまるで知らない存在。可愛らしい女の子だった。  その二人の背後を見つめる者たちがいた。そいつらは立ち止まり、ほぼ同時に言葉を発した。 「ゆくぞ」  と。確かな炎を瞳に宿して。
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