臨也くんの夏休み

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 俺こと園崎臨也はとても気分がよかった。  理由は単純にして明快。夏休みにほかならない。  正直言って、俺は非リアではない。親友だっているし言うほどのコミュ障でもない。ただ自称コミュ障のキョロ充なのだ。そんな俺は夏休み初日、外に出ていた。  初日である今日からさっそく親友である京介と遊ぼうと思ったが、美咲への生贄として差し出したのを思い出しそれは断念した。  だがせっかく外に出たのだから何かしよう。そう思ったのだが。 「じゃあ今回は注意で終わるね。君学生だし誤解のようだしね」 「はい! ご苦労さまです!」  場所はどこかの交番。後ろ姿が綺麗なお姉さんを無意識にストーキングしてたら、まぁ・・・ね?  何が悲しいっていざお姉さんの顔を見たら大した可愛くなかったといことだ。 「今後気をつけてね。今のご時世ちょっとしたことで訴えられる上に女性は強いからね」 「うっす! では失礼します! 勤務頑張ってください!」 「はは、じゃあね」  体育会系ばりの声をあげると、若い警官は微笑んで臨也を見送った。  えぇ人や。  朝っぱらからそんなことになりつつも、街へ赴く。  夏の大都会というのは本当に暑い。ホントなにこのジメジメ死ね。  そう思いつつも、歩みは止まらない。道行く人々の、特に可愛い娘の薄い服から見える脇チラを見るだけでその価値はある。 「グヘヘ、あの娘中々いい服じゃねぇか。どーれど・・・」  遠目に見える黒髪でスタイルのいい女の子がいた。下品な声を出していると、その姿には見覚えがあった。  その人物を誰か確信すると俺は急いで物陰へと身を隠した。とっさだったので電柱の影だが。 (み、みみみみ美咲!? なぜあの破壊王がこんなところに!?)  その美咲は普段の様子とは違い、そわそわと何度も髪を整え落ち着きがない。それ故に傍からはとても可憐に見えるだろう。 (そうか、なんてことはない京介と待ち合わせしているのか。というかここ駅前だしな)  身を隠しながら全て理解した。  俺の身には完全に奴への言い知れぬ恐怖が染み付いているのだろう。 (にしても似合わねーなあの糞アマ。残念ながら京介は幼女にしか興味ありませーん、ぷぷー) 「ッ!?」  と、そう思っていたら美咲は唐突に狩人へとその眼光を変え辺りを見回した。なにアイツ読心系の能力者?
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