Act.13 悪夢

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 周囲で再生を始めていた異形の動きが、ピタリと止まる。 「やりました、か…?」  ギルティアが、ファラオ店長の下に駆け寄る。 「無茶しやがって…だが、流石だな、嬢ちゃん」  ファラオ店長が、そう言って笑う。ルークも、そこに飛んでくる。 「…一応、私自身の身体を完全に修復するのに必要な根源的エネルギーの量を、  大きく上回る量の根源的エネルギーを手に入れる事が出来ました。  この調子で行けば、エルヴズユンデの修復が可能になるのもそう遠くありません」 「良かったじゃねえか!」  ファラオ店長が喜ぶ。 「ええ、これも皆さんの協力の…」  ギルティアが、おかげですと言いかけた所で、周囲の異変に気付く。  ピタリと動きを止めていた異形達が、ボロボロと崩れていく。  そして、その破片が、先程時空震ブレスの直撃を受けて吹き飛んだ巨人型の異形の場所に集まっていく。 「何が起こっている…!?」  ルークが静かに呟く。 「まさか…!!」  先程の巨人型の異形の核と思しき光球が、吹き飛んだ異形の骸の中から浮かび上がる。  その光の表面からも、夥しい人の顔が浮き出ている。  それを中心に、異形達の破片がどんどん集まっていく。 「…ありえない!異形が異形を食らうならばともかく、こんな事が…!?」  そして、それはどんどん巨大になり、最後には、一体の巨大な異形の姿を形成した。  その姿は、四つん這いの巨人のようだ。  長い間異形と戦ってきたギルティアでも、このような事は前例が無かった。  まさに『異常』な事だったのだ。 「…ここは、我に任せよ!」  ルークが光に包まれ、巨大化する。 「ルーク、敵の強さが全くの未知数です!持ちうる全力を持って一気に決着をつけてください!!」 「了解した!!」  ルークが、巨大な異形に向け、突進した…。
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