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「嬢ちゃん、相変わらず凄い事するな…」
ファラオ店長がギルティアに言う。
「ふふ、ありがとうございます…しかし、今回の異形は、明らかに様子がおかしかったですね…」
「ああ、長い間旅をしてきたが、俺もああいうのは初めてだ」
ファラオ店長が頷く。
「そうなのか?我は眠っていた時が長く、異形と出会ったのはギルティアと旅を始めてからなので、あまり良く分からんのだが・・・」
「ええ、確かに今までも再生能力が非常に高い異形は存在しましたが、異形同士の融合など、聞いた事もありません。
まして、あれだけの数の異形を完全に統率し、かつ、それらと融合して巨大な個体になるような異形など…。
少なくとも、通常ありえるようなものではない、というのは間違いありません」
ギルティアが、数秒考え、言葉を続ける。
「…まぁ、今考えても始まりません、か…取り敢えず、帰りましょう。
ここまで大変な戦いになるとは思いませんでした…ゆっくり休みたいと思います」
「ああ、そうだな…んじゃ、帰って寝るか!!」
「うむ、我もそのほうが早く再生できるだろう」
ルークが、再び小さくなり、ギルティアの肩に乗る。
「…ファラオ店長、包帯か何かありませんか?」
ルークについて何か気付いたギルティアが、ファラオ店長に尋ねる。
「ああ、ほらよ」
屋台の中から、ファラオ店長が包帯を取り出し、ギルティアに渡す。
「まだ傷が再生しきっていないのに私の肩に乗らないで下さい。肩が血だらけになります」
ギルティアが苦笑する。そう、ルークは傷だらけで、血がダラダラと流れていたのだ。
再生中とはいえ、まだ傷口が塞がっていない。
「む、すまん」
「…少し待ってくださいね」
ギルティアが、ルークの傷が酷い場所に包帯を巻く。
「これで、良いでしょう」
「…感謝する」
ギルティア達が歩き出す。
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