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気の利かない、肉付きの好い身体だけが取り柄の女だ。
バスルームを出て、ベッドで眠る女に目をやる。
あの女とマネージャー。
一体どこが違うんだ。
「性欲処理以外に、役に立たねえっての」
人としてサイテーなセリフを吐いて、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し呷(アオ)りながら部屋を出た。
女に置き手紙?
する訳ねーだろ。もう会う事も無いのに。
ホテルのフロントに預けてあった貴重品を受け取って、会計を済ませて外に出る。
『E☆スターのショー』
それが今のオレのブランドだ。
乗り込んだタクシーに、言葉少なく行き先を告げ。
話す意思の無い事をアピールするために、眠ったふりをする。
久しぶりに帰ったマンション。
高層階の部屋の眺めは、今も割と気に入っている。
『ショーちゃん、すごいねえ!!』
ツアーのせいでしばらく無人だったその部屋は。
何か大切なものがかけているような気がして、しばらく電気も付けずに佇(タタズ)んだ。
『ショーちゃん、見て。夜景が星空みたい』
アイツの声が、こだまする---
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