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カーテンの必要のない、高層階の窓から。
飽くことなく都会の夜の光を見ていたアイツ。
今は本物の星空を見ているのだろう。
「星、見えねえ・・・」
呟いて、すっかりぬるくなった水を飲んだ。
E☆スターのボーカル、ショー。
上京してもう何年だ。
上京した時は2人だった。
売れてからも。しばらくは2人だった。
今は---
一人でこの夜景を眺めてる。
呑みかけのボトルをそのまま後ろに放り投げようとして、
『もー!ショーちゃんったら』
可愛く頬を膨らます、アイツの声が耳に響いて手を止めた。
「チッ」
舌打ちしながらも、ボトルを対面キッチンのカウンターに置いて。
『ショーちゃんショーちゃん、何食べたい?』
フリルのエプロンを着けて、花が咲いたように微笑むアイツの顔を思い出した。
「クソッ・・・重症だな」
オレの自嘲に笑うヤツなどいるはずもなく。
一人寂しくキングサイズのベッドに、身を沈めた。
あれ以来。
ココで眠るのは、
オレ一人だけだ---
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