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「イッテェ!」
頭を押さえながら振り返ると、真司郎が怖い顔で立っていた。
「えっ?真司郎?」
「何時だと思ってんねん!」
丸めていた雑誌を戻しながら、真司郎が睨んだ。
それで叩いたのかよ…。
真司郎が手にしている雑誌を見ながら、頭を押さえて、俺も真司郎を睨んだ。
「なんで…。」
「あっ、もしもし…おう、来たで。うん…。」
俺を無視して、真司郎は電話をかけていた。
何なんだよ…。
そう思いながらも、こいつがいるという事は、千晃は大丈夫だろうと少しホッとした。
「信じられへんわ…ちあちゃん待たせるなんて。」
スマホをしまいながら俺を睨む。
「別に好きで待たせた訳じゃ…。」
待たせた事には変わりないので、反省はしていた。
「千晃はどこ…。」
ガシッ!
早く会いたい気持ちを押さえて、なるべく平常心で聞こうとすると、後ろから肩を掴まれた。
「こんにちは。秀太くん!」
振り返ると、直也先輩が笑顔で立っていた。
笑顔のはずなのに、背筋が凍るように感じた。
「先輩…。」
肩に乗っている直也先輩の手に力が入る。
「こっ、こんにちは。」
「どうも。」
挨拶をすると、直也先輩の後ろから、千晃がピョコッと顔を出した。
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