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顔もちっさいなー。 色白のなめらかな肌に、大きめの飴色の瞳。 すっと通ってるけど主張はしない鼻。 形のいい唇。 他の司書も見てみると、まぁなんとも地味な人ばかりだ。 その中にいると、 そこだけ彩られているようだった。 その時、机に置いていた携帯が光った。 杉田だろう。 メールを開くと、『今からそっち向かうから』とあった。 今日俺は4限まで、杉田は5限までで、杉田を待って勉強しながら時間を潰していた。 勉強にはならなかったけどな…。 広げていたノートと教科書をまとめて席を立つ。 杉田が来るまでに一冊何か借りたい。何でもいいんだ。 そう思って、その辺の棚にあった本を手に取った。 カウンターに彼がいることを確認してから歩き出す。 「お願いします」 本を差し出して言った。 彼は一瞬だけ俺を見ると、気にもとめず貸出手続きを始めた。 なんとなく、 その時に胸のネームプレートを覗き見た。 ふーん。 『立花さん』ね。
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