7820人が本棚に入れています
本棚に追加
顔もちっさいなー。
色白のなめらかな肌に、大きめの飴色の瞳。
すっと通ってるけど主張はしない鼻。
形のいい唇。
他の司書も見てみると、まぁなんとも地味な人ばかりだ。
その中にいると、
そこだけ彩られているようだった。
その時、机に置いていた携帯が光った。
杉田だろう。
メールを開くと、『今からそっち向かうから』とあった。
今日俺は4限まで、杉田は5限までで、杉田を待って勉強しながら時間を潰していた。
勉強にはならなかったけどな…。
広げていたノートと教科書をまとめて席を立つ。
杉田が来るまでに一冊何か借りたい。何でもいいんだ。
そう思って、その辺の棚にあった本を手に取った。
カウンターに彼がいることを確認してから歩き出す。
「お願いします」
本を差し出して言った。
彼は一瞬だけ俺を見ると、気にもとめず貸出手続きを始めた。
なんとなく、
その時に胸のネームプレートを覗き見た。
ふーん。
『立花さん』ね。
最初のコメントを投稿しよう!