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俺がぼーっと見ていた方に杉田が目を向けた。 「あ、あれがもしかして前に言ってた司書?」 「あぁ、そう」 また注意されたらたまらないから小声で話す。 「おー、噂以上の美人さんだ」 「美人って…男じゃん」 男に使う言葉じゃないだろう。 それに、そういう風に言われるとなぜか苛立ってくる。 「無愛想で性格悪いし」 ムキになって更に反論すると、杉田はおどけて「いいじゃん、キツイ美人も」と言った。 何だよそれ…。 なんかムカつく。 すげームカつく。 「とにかく嫌なやつなんだよ。これ以上言ったらもうノートコピーさせないぞ」 「ちょっと待って。冗談だし」 杉田の言葉を無視してすたすた歩きだした。 ノートをコピーさせてくれと泣きついてきたから、待っててやったのに。 「わぁ、ごめんごめん!ノートお願いします!明日の試験やばいんだよ」 杉田が追いかけてきた。 追いつくと「そこまで嫌いなんて知らなかった」と言った。 そう、嫌いなんだ。 ここまでとは俺も知らなかったけど。
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