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ん? なんか引っかかった。 「って、見かけの割にって何だよ」 俺そんな遊んでるつもりないんですけど。きみと違って。 「いや、女受けいいから不自由しなそうっつーか」 「はいはい。そりゃどうも」 そう言う杉田だってかなりモテる。 背も俺と同じくらい高いし、顔もかっこいいと思う。めんどくさがりの俺と違ってマメだしな。 ただちょっとチャラいけど。 しょっちゅう彼女が変わっている。 話しているうちに駅に着いた。 「今日はサンキュー!」 「今度学食奢れよ」 「任せろ!」 「じゃまた」 「じゃーな」 杉田が自転車に乗ったのを見て俺も改札に入る。 電車に乗ると入り口のドアの前に立った。 なんとはなしに車窓に映る自分を眺める。 博多美人の母に似た綺麗めな顔も、大人になっていくにつれ、憧れていた精悍な父に似てきた。 髪が少し伸びてきたな。 黒髪の方が大人っぽい雰囲気に合うと言われて、それからはずっと黒髪だ。 彼とは違う漆黒の髪と瞳。 思い出したのは立花さんのことだった。
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