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席を探して館内を歩く。 うちの大学の図書館は三階建てだ。一階は雑誌や新聞が中心。 ロビーのようなスペースがあり、カウンターの横には十数台のパソコンも置いてあって自由に使えるようになっている。 二階、三階は専門書中心だ。 一階から三階まではどの階にも仕切りのついた勉強机があって、ここで勉強する学生は多い。 図書館には地下もあって、そこは貸出禁止の本が置いてある。自由に出入り、閲覧は出来るが、あまり行く人はいない。 一階のカウンター近くの席を確保したかったけど、試験中でなかなか空いていない。2階も見てみるが同じ状況だった。 結局、三階の隅にぽつんとある机が空いてたためそこに座った。 このあたりは相当マニアックな本ばっかりだから、ひと気もまるでない。 穴場ゲット。 静かに勉強出来そうだ。 席についてすぐに、こちらに近づいてくる足音が聞こえた。 誰なのかは本棚の影になっていて分からない。 なんとなく気になって椅子を後ろに引くと、本棚の向こう側が見えた。 たくさんの本を抱えた人影。 それが誰だか気付いて心臓が跳ねた。 ――立花さんだ。
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