雨ときどき、君。

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だめだ…
集中出来ない…

ずっと教科書の同じところを読んでいるのに、頭にはちっとも入ってこないでいた。

考えるのはさっきのことばかり。

勉強なんて手につかない。
あんなの見てしまったら…

あの時小さく「わっ」って言った。絶対言った。

いつもの無機質な声じゃなかった。

そしてあの顔はなんだ。

頬を赤く染めた顔が忘れられない。
綺麗な色の大きな瞳はうるうると揺れていた。

普段能面みたいなポーカーフェイスなのに。

思い出してまたそわそわしだす。

立花さんもうカウンター戻ってるだろうか？
本返しに行こうかな。

いや、ただの気分転換にだ。

本を持って立ち上がった。
適当に借りて開いてもいない本を。