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それから俺は毎日図書館に通うようになった。
館内に入るとまず、カウンターに薫さんがいるかどうかを確かめる。
彼の姿を見つけると心の中で小さくガッツポーズ。
あんなに毛嫌いしていたのに今は興味津々なんだ。
退屈な日常の中で面白いものを見つけた、みたいなそんな感じ。
毎日一冊本を借りて、返却と貸出手続きのために一日二回薫さんの前に立つのが習慣になった。
「こんにちは」
俺が笑顔でなるべく感じよく挨拶すると、一瞥されて
「…こんにちは」
ぶっきらぼうに返事が返ってくる。
これが毎回のやりとり。
「これお願いします」
本を差し出して言った。
薫さんはいつも通り、すぐに視線を本に移して手続きを始めた。
それは少し残念だけど、至近距離で観察するチャンスだ。
下を向いて作業している薫さんを見つめる。
遠くから見ても人目を引くけど、近くで見ると一層綺麗で見とれてしまいそうだ。
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