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閉館時間になると外に出て、出入り口の軒下で薫さんを待つことにした。 職員の通用口はきっと別にあると思う。 でも、待ってると言った俺を、待たせたままで薫さんは帰ったりしないはずだ。 待つこと30分。 利用者はとっくに全員帰り、閉館した図書館からは誰一人出て来ない。 こんな日に限って、天気までもが憂鬱な気持ちにさせるんだ。 急に雲行きが怪しくなってきた空から、ゴロゴロと不穏な音が聞こえ出した。 そのうちに、ぽつぽつと雨が降り出し、 あっという間に土砂降りになってしまった。
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