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「あの……あの…」
薫さんは言いにくそうに、つっかかりながらごにょごにょと話し出した。
「その…この前は、ごめん。酒癖悪くないって言ったのに…」
「全然。俺も気にしてないので、薫さんも気にしないでください」
「………と」
多分彼は、ありがとうと言った。
きっとこの数日間も謝りたかったけど、恥ずかしくて顔が見れなかったんだろうな。
「正直嬉しかったです。気を許してもらえて。俺は、もっともっと甘えられたって嬉しいだけですから」
そりゃ困ることもあるけど、やっぱり嬉しいという気持ちが一番大きいに決まってる。
薫さんがほっとした表情を浮かべた。怖かったのかもしれない。
嫌うことなんてないのにね。
「…やっぱり、城戸くんって優しい」
「薫さんだから」
安心していてほしくて、薫さんを見つめてにっこりと微笑む。
「……」
「……」
「えっと…雨、止みそうにないね」
長い沈黙の後、不自然に話を逸らされた。
まぁいいや、そういうとこも可愛いから。
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