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きっと何の深い意味もないに違いない。
それでも期待をしたくなるのは、いつものように俺の願望にすぎない。
あの日部屋でした俺たちのやりとりを、彼はどこまで覚えているのだろう。
もしも全て覚えているなら、俺をどんな気持ちで誘ってる?
「…いいんですか?」
息を飲んで尋ねると、
薫さんがこくりと頷いた。
「近道があるから、ついてきて」
「はい」
掴まれた手を、ぎゅっと握りしめられる。
「じゃあ、走ろ」
彼に手を引かれ、
俺たちは二人で、雨の中に飛び出した。
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