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あぁ、ずるい。 こうやって俺をどこまでも骨抜きにしていくんだ。 秘密の共有者かいたずらの共犯者。 俺をそうだとでも言いたげなお茶目な表情で見つめてくる薫さんは、以前「規則ですから」と言って俺を冷たくはねつけた人と同一人物とは思えない。 「…よろしくお願いします」 少しの間言葉をなくしていたけど、ようやくそれだけぼそりと言った。 「えへへ、職権乱用しちゃう」 ほんとに、 この人は、なんでこんなに可愛いんだろう。 「あー疲れたぁ」 問題が解決すると、薫さんは一度伸びをしてローテーブルに肘をついた。 そして何かを思い出したように振り返って声をかけてきた。 「あ、ゆーた」 「なんですか?」 「そういえば、イルカの名前考えた?」 それを聞いてずっこけそうになった。 …ま、ときめいてるのは俺だけですよね。 「まだです」 「もう。決まるまで勝手にゆーたって呼んでるから」 「え…」 「早く決めないゆーたが悪い」 待って。 ちょっと待って。 それって… まさか…俺の名前で呼んでるぬいぐるみを抱いて寝てるの…?
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