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――― あ、 いない… 図書館に着いてすぐカウンターに目をやるが、そこに薫さんの姿はなかった。 がっかりするのと同時にちょっとだけドキドキしてくる。 またどこかで作業しているのかもしれない。 席を探しつつ館内を見て回る。 試験期間も終盤のため、席は結構空いていてすぐに見つかった。 えっと、じゃあ本を探しつつ? 無理やり理由付けをして、引き続き館内を歩く。 一階にはいなかった。 二階にも、三階にもいなかった。 残るは地下だけか。 もしかしたらカウンターの奥にいるのかもしれない。 そうは思ったけど、足は自然に地下へと向かった。 地下は貸出も禁止だし、薄暗くてひと気もない場所だ。 俺も一度しか行ったことはない。 地下に通じる階段を静かにおりていく。 最後の一段をおりて周りを見回すと、人影もなく静まり返っていた。 やっぱりここじゃなかったか。 もうカウンターに戻ってるのかもしれない。 そう思って来た道を戻りかけた時、 ガタガタガタッと大きな音が響いた。
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