城戸優太

4/9
7799人が本棚に入れています
本棚に追加
/448ページ
「え、それってもしかしてよくカウンター担当してる人じゃない?!」 「さぁ、よくカウンターにいるかどうかは知らないけど」 「美青年でしょ」 「あぁ、その人だ」 「やっぱり~!密かに女子に人気あるのよ」 ふーん。あの人モテるんだ。 確かに美形だけど。 「でも性格キツイよ」 「性格は別にいいの。ただの目の保養だから」 あ、そうですか。俺あの人苦手。 **** 三年でゼミに入ってから、図書館を利用する機会が多くなった。 うちのゼミは毎回発表をしないといけないからだ。必要な参考文献は大学の図書館が一番よく揃う。 一二年の頃は専門書ばかりで寄り付きもしなかったが、今では重宝していた。 「返却期限が過ぎているものがありますので、本日は貸し出し出来ません」 冷めた声がピシャリと言った。 またこの人か。 見上げてくる瞳は色素が薄く、透き通るようで。 その瞳に俺が映り込んでいた。
/448ページ

最初のコメントを投稿しよう!