7799人が本棚に入れています
本棚に追加
/448ページ
だけど、
映ってはいても、見てはいるのだろうか。
「すみません、でも明日必要なんです」
確かにあと一冊借りている本がある。でも、返却期限が切れていると言ったって二日過ぎているだけだ。
「二日遅れていますので、今すぐ返却しても二日は貸し出し停止です」
そう、うちの大学の図書館はペナルティーがある。返却期限を過ぎるとその日数分貸し出し停止になってしまうのだ。
「そこをなんとかお願いします!」
たった二日だ。少しくらい融通利かせてくれてもいいじゃないか。
「規則ですから」
必死の頼みも虚しく、冷たくはねつけられただけだった。
なんだよ、ほんっとにムカつく!
頭でっかち!冷血人間!
むしゃくしゃしながら外に出て杉田に電話をかけた。
「もしもし、まだ学校いる?」
『いや、もう家』
「そっか、ならいい。ありがとう」
他にも何人かに電話したけど、なかなかつかまらない。
「あ、石橋さん。突然ごめん。まだ学校いる?」
『いるよ~』
「頼みがあるんだけど、俺の代わりに本借りてくれないかな?」
『いいけど、どうしたの?』
「いや、俺返却期限切れててさ」
『なるほどね。わかった、今から図書館向かう』
「ありがとう。恩にきる!」
最初のコメントを投稿しよう!