城戸優太

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図書館の中に入った所で石橋さんを待つ。そんなにしないうちに来てくれた。 「ごめん!わざわざ」 「ぜんぜーん」 「ほんと助かった!」 「いいよ。今度何かおごってくれたらねー!」 「もちろん!」 その場で明日のゼミのこととか話しだしてしまい、そばに人が来たことに気づかなかった。 「すみません」 突然話しかけられて、石橋さんと同時に振り向いた。 「図書館ではお静かにお願いします。迷惑になりますので」 そこには、件の冷血人間が立っていた。 「あ、すみません」 石橋さんが申し訳なさそうに謝った。 「…すみません」 ぶっきらぼうに俺も続く。 冷血人間は一瞬だけ俺を見て、 「以後気をつけてください」 それだけ言ってくるりと踵を返した。 残された俺たちには気まずい空気が流れる。 「私達が悪かったね。とりあえず、本借りよっか」 「だな」 石橋さんの一言で、本を借りに行くことにした。
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