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勢いよく弁当を食べる亜音。
朱音はヘッドホンを耳に当ててパンをかじっている。
突然、村野真夢が飛び込んでくる。
「亜音せんぱーい、ごめんなさーい、遅くなっちゃってぇ、授業がありえないくらいに延びちゃったんですぅ。お弁当、作ってきましたよ。今日は炊き込みご飯にしようと思ってぇ。でもぉ、どうやって作るのか、真夢、よくわかんなかったからぁ、砂糖とマヨネーズで、真夢スペシャルにしてみたの。食べてくださいね」
「あの、もう俺、食べ終わるんだけど」
「そんなこと言わないで、い~っぱい食べてくださいね。あ、昨日のライブ、すっごくかっこよかったですぅ。真夢、感動して死んじゃうかと思っちゃった」
「ははは……大げさだよ」
「亜音先輩、真夢、先輩のこと、好きです」
「俺はね、いつも言ってるけど、君とは付き合う気ないから」
「じゃあ、誰と付き合うんですか?」
亜音、ちらっと朱音を見るが
朱音は相変わらずヘッドホンに集中している。
「だ、誰とって……」
「亜音先輩はね、真夢と一生結婚する運命なんだよ」
「一生結婚って……」
「明日も、作ってきちゃいますからね」
「じゃあ俺、練習あるから」
「えっ!」
亜音、弁当箱をさっさと片付け、教室から逃げ出す。
「あ、亜音先輩っ!」
取り残される真夢。
ここ、視聴覚室が
亜音たちの普段の練習場所。
楽器が置かれてある。
ギターをチューニングする木下夕哉。
漫画を読んでいる黒沢若葉と、小津比呂太郎。
そこに、亜音が飛び込んでくる。
「アオ、昨日はおつかれ」
「ごめん、もうみんな集まってたんだ」
「次のライブまでそんなに時間ねーからな、自主練だよ」
若葉、漫画をこっそりしまう。
「あれ? 次っていつだっけ?」
「比呂太郎、お前ホントにバカの鑑だな。大晦日のカウントダウンライブだろーがよ。何年バンドやってんだよ」
「そ、そんなに何年もやってないし、そこまで言わなくたって」
「それにしても驚いたな。RED RAINが解散しちゃったなんて。アオ、朱音は何か言ってた?」
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