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夕方、校舎の前。
雨が落ちている。
朱音、そんな空を見上げている。
突然視界が青くなる。
朱音の上で青い傘を差す柴谷朱流。
驚く朱音。
しかし朱音の視界は変わって
差していたのが朱流ではなく、亜音だったとわかる。
「雨降るなんて言ってなかったのになぁ」
亜音はわざとらしく呟くが。
「でも、傘持ってるじゃん」
「毎日持ってるんだよ」
「準備いいんだ」
「まあね。……あの、たまには、……一緒に帰ろっか?」
背後から真夢の声。
「亜音先輩~、真夢のこと、待っててくれたんですかぁ?」
「え? 全然待ってないけど」
「うれしーい、一緒に帰りましょ? 亜音せ・ん・ぱ・い」
「君は、耳は付いてるのかな?」
「じゃあな、亜音」
「え?」
「アタシも毎日持ってるんだよ」
朱音、真っ赤な折りたたみ傘を開いて、去って行く。
「……準備いいんだ」
隣でニコニコする真夢。
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