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雨上がりの帰り道。 朱音が歩いている。 路上ライブが行われていて、立ち止まる朱音。 観客は数人。 その中に、朱流がいる。 慌てて歩き始める朱音。 背後から、見知らぬ男が近付く。 20代前半だろうか。 「おっ、久しぶり、俺だよ、俺」 朱音は、少し考えるが 無視して歩く。 「お、ちょっちょっちょ、何してんの? 今一人?」 前方に回る見知らぬ男。 「お茶とか飲まない? いいお店知ってるんだけど」 無視して歩く朱音。 「あ、じゃあさ、今度クリスマス、一緒に過ごさねぇ? なあ」 無視して歩き続ける朱音。 「シカトしてんじゃねえって」 朱音の腕を掴む男。 「あの、急いでるんで」 男の手を勢いよく振り払って、朱音、早足で去ろうとする。 路地から、男の連れが朱音の目の前に三人飛び出してくる。 「お前女のくせにナメてんじゃねえぞ、マジで」 再び男に腕を掴まれる朱音。 「や、離せ」 男の横顔。 そこにタバコの火が近付いて、押し付けられる。 「あっ熱ッッ!!!」 鞘木一巳がタバコを持って立っている。 「悪い悪い。汚いから灰皿と間違えてもうたわ」 「なんやとこのガキ!」 ガキと呼ばれた一巳は、外見では10代に見える。 逆上した男たちが、一巳に殴りかかる。 一撃をくらってよろめく一巳。 「はい、これで遠慮なく」 口元を拭いて、あっという間に三人を殴り倒す一巳。 朱音、呆然とそれを見ている。 「物騒やなぁ。大丈夫か? 怪我とかしてへん?」 「はい、アタシは。でも……」 朱音、ハンカチを取り出して一巳の口元を拭く。 「あ、汚れてまうって」 「ごめんなさい」 朱音、一巳にハンカチを渡す。 「せやけど、気ぃつけてえな。クリスマスや、年末やいうて、変なのが増えとる」 「はい、ありがとうございます」 「これ、洗って返すわ」 「そんな、いいですよ」 「借りは作らへんタイプなんや、何番? 番号」 iPhoneを取り出す一巳。
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