【3】脱いだあの子の天女の証 ポロリもあるよな夜の夢

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それは ごく普通のブレザータイプの、モスグリーンの制服やった。 なんや? そんな嬉しそうに抱えて…… 俺は訝しげに尋ねた。 「ああ、それな、うちの高校の制服や。なんや雪斗くんブレザー初めて? 前の学校学ランやったんか?」 「え……あっ、いいえ」 雪斗くんは、ぎゅっとなんのへんてつもない制服を抱きしめて、夢見るような瞳をした。 「……その、僕…。今まで“一度も”学校行かせてもらったことないんで、初めてなんです。…制服」 え…!? ちょっ…… なんで……と、言いそうになった俺に、雪斗くんは少し悲し気な顔をして…… それでも口だけは笑おうと無理して…… 戸惑う俺に説明してくれよった。 「――…僕は…、『巫女姫』だから……。こうして御国家へお世話になる日が来るまでは、【屋敷の結界】から決して外へでてはならない《しきたり》なんだそうです」 はぁ!? あんまりな時代錯誤的な話に、なんも言葉をかけられん俺に 雪斗くんは慌て、首と両手を振った。 「あっ!! でも御国のおじ様が、いっぱい家庭教師をつけてくださったんで、勉強の方は大丈夫ですよっ」 そう言いつつ、再び制服を、抱きしめる。 「――…でも……、本当に『学校』に行けるんですね……」 雪斗くんは…… これ以上ないってくらいの笑みを浮かべた……。 「…嬉しいな」 なんやねん。 なんやねん。……それ…… 『巫女姫』って、なんなんや!!
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