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朝や……
ああ……
チュンチュンと鳥の鳴き声がのどかすぎるわ……
「あー…、やっと起きてきよったか。戒……? なんや眠そうやな」
食堂で、仕事仕様の三つ揃いの背広をビシッときめた親父が
焼きたてのクロワッサンをちぎる手を止めて訝しげに俺を見た。
頼むから、下手なツッコミはせぇへんでくれ。
アレなナニに興奮して寝不足とか、永遠に言えんわ!
「ああ、そや。 ユキトちゃんもまだ起きてこんのやけど、戒、お前ちょお見てきてくれんかいのぉ」
「多分、初めての長旅で疲れとるんやろけど……今日から早速学校やさかい、もう起こさんとマズイやろ」
俺は半分以上、ぼーー…とした頭で、ネクタイを締めつつ頷いた。
「あー…… わぁった……」
「ふーん…」
そんな俺を見て、親父が妙にニヤリと笑った。
……なんや。気色悪いな。
「あ"?」
俺が不満げにチラリと見ると親父のやつ、『きしし♪』 とやらしい笑いを浮かべ、こんなん言いおった。
「素直に世話やくところを見るとぉ~… 戒、お前気に入ったんやろ? ユキトちゃんのこと♪」
どきっ!!
いや!!ナニにドキドキしとんねん!! 俺!!
「べっ……別にそんなんやないわ!! ただ!! なななんちゅーか!! …っっ……なっ…なんでもあらへん!! 行ってくればいいんやろ!?」
俺は、思いっきり不覚にも耳まで赤くなり、慌てんでもええのに、全速力で雪斗くんの部屋へダッシュしていた。
ああ……
頬杖ついて、満足気に『ムッフーン♪』とかゆってる親父の顔が浮かぶわ!! くそったれ!!
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