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「ほんでな」
人の話、聞かんかい!!
このヒゲ!!!
「その子な、《花嫁修業》っちゅー名目で、『今日から』一年間、家に同居することになってんねん……
つーか、実質『同棲』やぞ? このスケベ♪」
「ーーーーーー!!!!?」
ちょっと待て。
俺、まだ17や。
彼女なしや。
恥ずかしながらDTや!!
それがど……ど……同棲て……っっ
俺は言葉を失い、座卓に押し付けた両手をワナワナ震わした。
しかし、この無茶ぶり親父はニヤニヤ笑いながら、三本目の団子をもくもくと食っている。
「あー…多分夕方にはこっちに着くさかい。ほいで学校もクラスも、同じとこに転入手続き済ましたしな……!!あっ!!」
そこまで、勝手にべらべらしゃべりまくってたクソ親父が、いきなり何か重要なことに気づいたように、俺に向かって『アカン、アカン』と楽しそうに笑いかけた。
「その子―――
『鎮目 雪斗(しづめ ゆきと)』ちゃん、ゆーてな♪
めっちゃ可愛い……」
……俺は、いまだかつてない嫌な予感に襲われた。
「【男の子♂】やねん」
「………は……っ…はあぁああぁあ!!!???」
―――…俺の、清く正しく潔く生きてきた17年間分の青春が、訳のわからない悲鳴になって
この、代々受け継がれてきた御国家の、バカデカい敷地内に、すっとんきょうなこだまになって響き渡った……。
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