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――『戒、お前には生まれた時から決められた婚約者がおるんや。 その子、《鎮目 雪斗》ちゃんゆーてな…… めっちゃ可愛い【男の子】やねん♪』―――………
ちょっと待てやあぁぁああ!!!!!
男♂!? 男の子♂!?
「いやっはぁ~!!♪ よく来てくれたね。雪斗ちゃん!!!」
「はい♪ 御国のおじさまもお変わりなく♪」
来客用の一番豪華な和室に、雪斗…くんを通した親父は、今まで見たこともないくらいの上機嫌で、俺をその子の隣に座らせ
座卓から乗り出して向かいの雪斗…くんの頭をなでなでしとる。
「いやいや雪斗ちゃんこそ~~、ますます可愛くなっちゃってもう、おじさん嬉しくて困っちゃうな~~♪」
「親父ぃっっ!!! ちょお、お聞きしてもええですか!!?」
俺はたまらず、なんか敬語でつっこんだ。
「なんや、戒。うるさいのぉ~。男の嫉妬は醜いで?」
「嫉っ…!! ちゃうわ!! そっ…そのつまり、その子が昼間ゆーてた……婚約(はなし)の……【アレ】の…、【アレ的】な…?」
親父は、むっふ~♪といやらしそうに笑うと、面白そうに、顔をまっ赤にしとる俺を見た。
「そーーや♪ どや。めっちゃ可愛いやろ?」
「かっ…!…っ…そら(可愛い)けどっ…!!!
でもそのホンマにっ……、おとっ…、おとっ…、男っ……♂!!?」
どうにも目の前の現実を信じられずおたおたする俺を、親父は急に冷静な目で『ふんっ』と一瞥(いちべつ)すると、自慢の朱塗りのキセルをくわえ、紫煙を吐きつつこう言った。
「……あんなぁ…戒。これは《しきたり》なんちゅー甘いもんちゃうで?」
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